[RP2] : 「だーかーら、簡単なことでしょ?
 アンタの腕は確かなんだから、それを高めの値段で売付ける」

[RP2] チェン : 「しかし、聞けスワイヤー。それでは真に必要としている者の手には届かないのではないか?」

[RP2] : 「あんたねぇ……」

[RP2] : 「そういうことはもっと偉くなってから言いなさいよ。あしたのおまんまも食べれるかわかんない若造がそんなこと言うんじゃありません」

[RP2] チェン : 「だが、しかし……」

[RP2] チェン : 経理に触れたことのなかったチェンは、それに強い友人へとものを尋ねている。
彼女は誰であっても失礼な態度であった。

[RP2] : 「それに、『負ける気は無い』んでしょ?
 そんな悠長なこと言ってたら、他の人に追い越されちゃうわよー?」

[RP2] : 「アンタはバカにしてたけど、相手は超有名企業ロッテンガム侯領の社長よ?
 競馬界を語るならまず外せない、大物中の大物」

[RP2] : 「それにあの女の子、アマツさんも……とある和菓子屋の店主
 お店は小さいながらも高校生ながら立派に利益が何たるかを理解してる」

[RP2] : 「桃……はちょっとデータにないけど……
 でも、そのトリッキーさはダークホースよ
 どうして来るかなんてわからないわ」

[RP2] : 「そんな相手を前に、情熱だけで何とか出来ます!なんて言えるわけないわよね。」

[RP2] チェン : 「……むぅ」

[RP2] チェン : そう言われると弱いのか、バツが悪そうに口を閉じて。

[RP2] チェン : 「……一人で何とかするということの脆弱性はレユニオンとの戦いで学んだ。私一人で何とかできるとは当然思っていない」

[RP2] チェン : 「だからお前に頼ってるんだ、スワイヤー」

[RP2] : 「……………………!!!」

[RP2] : 「は〜〜〜〜!」

[RP2] : 「アンタってばそういう……まったくもう!……しょうがないわね、アタシの出来る限りの手助けはしてあげるわよ」

[RP2] : 「でも……あくまで私は助言だけ。
 相手が一人だけならそれでいいんだけど……」

[RP2] チェン : 「……? それはどういう……」

[RP2] : 「……ま、起きた時は起きた時でしょう!
 それよりほら、アンタの運命の時よ!」

[RP2] チェン : 腑に落ちない所はあったが、しかし。
電話を机に起き、渡された連絡用の端末へと……目を通すのだった。

[RP2] チェン :

[RP2] : 「────あんたバカなの!?」

[RP2] : 「あんな利益の出ないやり方なんてしたら、いつかお金尽きちゃうわよ!?」

[RP2] チェン : 「だが、金は取れただろう?」

[RP2] : 「+100万円だけね!」

[RP2] : ダンっ!と何かを強く叩く音がする。

[RP2] : 「やっぱりダメ!質を落として価格を高めなさい!
 何のためにアタシが調査してあげたと思ってんの?」

[RP2] : 「人がいない部分を狙えば確実に取れる。アンタに経理の何たるかを叩き込んだからね」
「市場にそれしかない人は、例えどんなに貧しくてもそれを取るしかないのよ」

[RP2] : 「あーほら見なさい!!」

[RP2] : 「アクオン社長のやりかた、あれが正しいのよ!
 ドベ付近だったのに一気に這い上がってきたわ!」

[RP2] チェン : 「…………そうかもな」

[RP2] : 「あら、やっと素直になった?」

[RP2] : 「言ったでしょう。ビジネスとは"ニーズ"を売るもの。不満足な出来合いだったとしても、それを必要だから取るわけ」

[RP2] : 「アンタの警備に力を入れたって、それ相応の利益が必ず戻ってくるわけじゃない」

[RP2] : 「逆に……利益を度外視した高性能の商品には誰もが飛びつく。あの桃の生き物みたいにね」

[RP2] : 「アンタは馬鹿にも悪徳にもなり切れない、甘ちゃんなのよ。チェン=フェイゼ?」

[RP2] チェン : 「……ああ、ましてやここは仮想空間。自らの利益を求め続けるのが賢い選択だ」

[RP2] チェン : 「だが、それはお前のやり方だ」

[RP2] チェン : 「私は私のやり方でやる。当然負ける気は無い。
 このまま終わる気もさらさらないよ」

[RP2] : 「…………」

[RP2] : 「アンタ借金してるくせに口が回るわねぇ……
 はー……もう知らないわよ、それならどうぞご勝手に!」

[RP2] : 「……でも、アタシをここまでこき使ったんだから」

[RP2] : 「ちゃーんと勝ちなさいよね!」

[RP2] チェン : 「もちろん、当然だ」

[RP2] チェン : 逆境の縁だった。それはチェンも理解している。
だが、その中でもニヤリと笑ったまま。

[RP2] チェン :

[RP2] チェン : 「…………大口叩いただけ、それに見合う実力はなかった、ということか」

[RP2] チェン : はは……と、乾いた笑いが零れ。

[RP2] チェン : ギッ、と、拳に力が入る。

[RP2] チェン : 「……久しぶりだ。ここまで悔しかったのは」